自販機の前で

昼休みに入るか入らないかくらいの時間帯、大学の自販機で缶コーヒーを買おうと並んだら前に女性が二人いて、一番前の女性が小銭を出そうと小銭入れを探っているのだけど、なかなかお目当てのコインが出てこないようで、その人は身を引いて後ろの女性に順番を譲ったのだった。

譲られた女性が比較的スムーズに飲み物を買い終えて、その頃には譲った女性も小銭が用意できた様子で、自分はその人が飲み物を買うのを2秒くらい待っていたのだけど、その女性が動こうとしないのでその人に目をやったら、笑顔で「どうぞ」と言う感じで(口には出していなかったが)譲られたので、自分は「何て性格のいい人なんだ」と思いながら缶コーヒーを買った。

20秒ほどの出来事だった。

その人からしたら、列を外れたのだから最後尾に並ぼうという感じなのかもしれないけど、たしかにそういうふうに考えれば合理的なのかもしれないけど、当然のことではないし、自分からしたらむしろその人が二番目に買うのが当然みたいなところがあるので、たいへん感激した。

笑顔は眩しかった。

これが恋か。違うか。